Description
夏休み直前のある朝、少女ゆき子は目を覚ますと全身が全く動かなくなっていることに気づく。手足は痺れ、声も出せず、ただ天井を見つめるだけの状態。母親は慌てて看病を始めるが、医者の介入はほとんど描かれず、母娘二人だけの閉ざされた世界で物語は進行する。最初はただの病気として扱われるが、日が経つにつれゆき子の身体に異変が現れる。皮膚の色が変わり、腫れ上がり、悪臭を放ち始める。母親は毎日体を洗い、膿や体液を拭き取り、蛆虫を手で取り除くなど必死に介護を続けるが、腐敗は止まらない。ゆき子の肉体は段階的に崩壊していく。肉が軟化し、液体が滲み出る。筋肉が崩れ、骨が露出する。ゆき子の意識ははっきりしているものの、内面はほとんど語られず、読者に想像を強いる。母親は疲労困憊しながらも、ゆき子に語りかけ、歌を歌い、昔の思い出を振り返る。外部の助けを求める描写はなく、すべてを一人で受け止める姿が描かれる。母親の心理は、最初は治ると信じていたが、徐々に現実を受け入れつつも娘を失うことを拒否する葛藤が克明に描かれる。ゆき子の体から落ちる肉片を拾い集め、優しく拭う手つきには恐怖を超えた美しささえ感じられる。物語の最終局面で、ゆき子の肉体はほぼ完全に腐乱し崩壊する。骨とわずかな皮膚の残骸だけが残り、原形を留めない状態になる。母親は最後の最後まで看病を続け、ゆき子の残骸を抱きしめ静かに語りかける。ゆき子はすでに死んでいるはずなのに、母親の目にはまだ娘がそこにいるかのように映る。明確な死の描写はなく、腐敗の果てに母娘の愛だけが残るという切なくも救いのない結末を迎える。部屋に残された骨のような姿と、母親の穏やかな表情の対比が強い余韻を残す。
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Staff
- Story & ArtHideshi Hino
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